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大阪高等裁判所 昭和31年(ネ)909号 判決

控訴人 辻信誉

外二名

右三名代理人弁護士 西橋儀三郎

被控訴人 国

右代表者 法務大臣 愛知揆一

右指定代理人 長野直臣

同 田辺明男

被控訴人 大阪府知事 赤間文三

右指定代理人 浜田美智夫

外五名

右二名補助参加人 大阪市

右代表者 大阪市長 中井光次

右指定代理人 横谷義人

外二名

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  被控訴人国に対し、大阪府知事をして別紙目録(一)記載の土地に対する大阪法務局天王寺出張所受付昭和二五年七月四日第五、三九〇号による取得者中村音治郎とする所有権移転登記、同目録(二)記載の土地に対する同出張所受付昭和二七年三月一三日第一、四九五号による取得者西田伸彦とする所有権移転登記の各抹消登記手続をさせることを求める控訴人らの訴を却下する。

3  被控訴人国に対し、大阪府知事をして別紙目録(一)、(二)各記載の土地に対する同出張所受付昭和二四年一二月五日第五、三二五号による取得者農林省とする所有権移転登記の各抹消登記手続をさせることを求める請求を棄却する。

4  訴訟費用は、第一、二審とも控訴人らの負担とする。

事実

≪省略≫

理由

本訴のうち、被控訴人大阪府知事に対し、控訴人らが(一)(二)の土地の所有権を有することの確認を求める部分の適否につき考えるに、控訴人らは、右土地につきなされた自創法による買収及び売渡は無効であるから、右土地の所有権は控訴人らにあると主張するが、被控訴人大阪府知事は、国の機関として農地の買収、売渡の各処分をするのであり、その処分の取消又は無効の確認を求める訴訟においては、その処分をした行政庁として被告となり得ることは、行政事件訴訟特例法第三条の規定(処分無効確認の訴は類推適用)により認められているが、土地の所有権確認の訴のような通常の民事訴訟においては、私権の主体となり得る国が当事者となるべきであつて、国の機関にすぎない行政庁は、訴訟の当事者となることは、法のみとめないところである。従つて、被控訴人大阪府知事を被告として前記土地の所有権確認を求める訴は不適法であるから却下さるべきである。

控訴人らは、被控訴人国に対し大阪府知事をして、(一)の土地に対する大阪法務局天王寺出張所受付昭和二五年七月四日第五、三九〇号による取得者中村音治郎とする売渡処分による所有権移転登記、(二)の土地に対する同出張所受付昭和二七年三月一三日第一、四九五号による取得者西田伸彦とする売渡処分による所有権移転登記の各抹消登記手続をさせることを求めているが、不動産につき所有権を有することを主張し、その不動産に不当な登記が存在するとしてその登記の抹消を求めるためにはその不動産の登記簿の登記権利者(取得名義人)を相手方とすることを要するところ、控訴人らの抹消を求める各登記の登記権利者は、(一)の土地については中村音治郎、(二)の土地については西田伸彦であることはその主張に徴し明らかであるから、右両名を相手方として右各抹消登記を訴求すべきである。従つて、右各登記の登記権利者でない被控訴人国を被告とする右訴は当事者を誤つた不適法なものであるから却下さるべきである。控訴人らは、(一)(二)の土地に対する買収は、被控訴人国の行政処分であり、被控訴人国は買収した土地を中村音治郎、西田伸彦に行政処分により売り渡したのであつて民法上の売買ではないから、控訴人らは被控訴人国に対し抹消登記を求めることができると主張し、右買収及び売渡処分が行政処分であることは、控訴人主張のとおりであり、買収及び売渡処分による農地等の所有権移転登記は、地方長官が職権でこれを嘱託すべきものであることは、自創法第四四条自作農創設特別措置登記令(昭和二二年三月一二日勅令第七九号)第一条第三条第一項の規定により明らかである。しかし、買収及び売渡処分による農地等の所有権移転登記手続の特則を定めた右登記令には、売渡による所有権移転登記の抹消登記手続については何ら特別な規定がないから、不動産登記法の定めるところにより当該登記の権利者の承諾書を添付して登記抹消の申請をすることを要し、若し右承諾を得られない場合には右権利者を相手方として登記抹消の訴を提起し勝訴判決を得て抹消登記申請をすることを要するものと解すべきである。売渡処分が行政処分でありこれによる所有権移転登記を地方長官が国の機関として職権でするものであるからといつて、直ちに国を相手方として右登記の抹消登記手続を訴求できるものと解することはできない。控訴人の右主張は採用できない。

(一)(二)の土地は、もと大阪府中河内郡巽村大字西足代五五三番地の一田一反三畝七歩の一筆であつたが、昭和二五年七月四日(一)五五三番地の一田三畝、(二)同番地の三田一反七歩(行政区画の変更により大阪市生野区巽西足代町となる。)の二筆に分筆されたものであり、右分筆前の右土地につき、当時の巽村農地委員会が昭和二二年一二月二六日辻恵次郎を所有者として自創法により、買収の時期を昭和二三年三月二日とする買収計画を定めたこと、右買収計画及び買収令書交付のあつた当時辻恵次郎が右土地の所有者であつたこと、同人が昭和二九年九月九日死亡し、控訴人らがその遺産相続をしたことは、当事者間に争がない。

成立に争のない乙第一ないし第五号証、の弁論の全趣旨によると、右巽村農地委員会は、昭和二二年一二月二六日右買収計画に定めた事項を公告し、同月三〇日から一〇日間右買収計画書を縦覧に供し、大阪府農地委員会が、昭和二三年二月二九日右買収計画を承認する旨の決議をし、大阪府知事がおそくとも昭和二四年一〇月二九日までに右買収計画に基き買収令書を辻恵次郎に交付したことを認めることができる。そして、本訴が昭和三〇年二月八日に提起されたことは記録上明らかであるから、本訴は、買収令書の交付による買収処分につき自創法第四七条の二に定める出訴期間経過後になされた訴であることは明白である。従つて、その処分に重大明白な瑕疵がないかぎり、処分の無効を主張し得ないものといわなければならない。

控訴人らが、本訴で無効確認を求めている処分は、(一)(二)の土地についての「政府の買収(農林省名義の所有権取得)」、と「政府の売渡(農林省からの売渡)」とであるが、右は右土地につき被控訴人大阪府知事が、買収令書の交付によつてした買収処分及び売渡通知書と交付によつてした売渡処分の無効の確認を求める趣旨と解し、以下順次右買収及び売渡処分が無効であるとする控訴人らの主張につき判断することとする。

控訴人らは、前記買収計画に定めた買収の時期までに当時の大阪府農地委員会による右買収計画の適法な承認がなく、買収令書は右買収の時期後に交付され、かつその内容が買収計画と著しく異つているから、本件買収処分は無効であると主張するが、買収の時期が昭和二三年三月二日と定められていたこと、同年二月二九日買収計画に対する大阪府農地委員会の承認の決議がなされたことは、既に認定したところにより明らかであるから、右承認がなかつたとの控訴人らの主張は採用できないし、買収令書の交付が右買収の時期の後になされたことも既に認定したとおりであるが、買収令書の交付が右の程度におくれたことをもつて、買収処分を当然無効にする重大明白な瑕疵ということはできない。また前掲の乙第一号証(買収計画書)と乙第五号証(買収令書の控)とを対比してみると、買収令書の内容は買収計画と一致していることが認められるから、この点に関する控訴人らの主張は採用できない。そうすると、控訴人らの右主張は理由がない。

控訴人ら、(一)(二)の土地は自創法第五条第五号にいわゆる近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地であつたのであるから、大阪府農地委員会又は巽村農地委員会は、右土地に対し買収除外の指定をすべきであつたのに、これをしないで買収をしたものであつて、本件買収は当然無効であると主張するので考える。自創法第五条第五号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に当るものとして同号に基く指定をするかどうかは、農地委員会の無条件な裁量に委ねられているものと解すべきではなく、農地委員会がその裁量により右の指定をしないことが許されない場合に、右の指定をしないで買収を実施することは違法であると解すべきである。しかし自創法第五条第五号にいう近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」に当るものかどうかは、同号に基く指定をするときの農地の現況及び四囲の環境上近い将来非農地化が必至と認められる程度に至つているかどうかにより決すべく、農地委員会が右指定をすることなく買収処分をした場合においても、買収処分の目的となつた農地が買収当時右第五条第五号により買収を除外すべき農地であるかどうかを決すべきであり、買収後相当の年月を経過した後提起された訴訟の最終の口頭弁論終結当時における土地の状況を参酌して買収処分の当否を判断すべきものではない。従つて、農地委員会が、当該農地の現況及び四囲の状況上その農地につき買収除外の指定をしないで、買収計画をたてることが許されない場合でない農地、すなわち近い将来非農地化が必至と認められる程度に至らない農地につき、同号による指定をしないで買収計画をたて、買収を実施したとしても、裁量権の範囲を越えた違法があるということはできず、社会情勢の急激な変化により買収された農地や四囲の状況が変化し、弁論の終結当時右土地が宅地化されたからといつて遡つて買収処分が違法となり又は無効となるものと解すべきではない。本件につきこれをみるに、成立に争のない甲第三号証、当審証人山本良吉の証言によると、(一)(二)の土地が、大阪市が大正一一年四月二四日に指定した都市計画の区域内にあること、控訴人ら先代辻恵次郎が、将来家屋を建てる目的で右土地を買い受けたことを認めることができるが、右指定があり、辻恵次郎が右のような目的で買い受けたからといつて直ちに右土地が自創法第五条第五号にいう「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」となるものと認めることはできない。(一)(二)の土地が現在生野区役所、同警察署、三和銀行、大和銀行等のある大阪市生野区勝山通を東西に通じ東方布施市に至る大道路と同市東成区大今里ロータリーから南方に通ずる大道路との交叉点の大池橋から約一丁東の前者の道路南側に面した土地であること、(二)の土地の売渡を受けた西田伸彦が、(実際は後に認定するように二羽賢二が売渡を受け、西田伸彦は交換により取得した。)昭和三一年一〇月二九日補助参加人大阪市へ右土地を一坪一〇、七五〇円で売り渡し、(一)の土地の売渡を受けた中村音治郎が、右土地を平岡国松に売り渡し、平岡国松が同月三一日これを補助参加人に一坪一一、二五〇円で売り渡し、補助参加人が、同年一二月八日大阪府知事から、農地法第五条の規定による農地転用に伴う所有権移転の許可を受け、これを宅地に転用し、(一)(二)の土地を含む敷地上に、鉄筋コンコンクリート建建物(検甲第一号証の建物)を建築し、現在これを補助参加人の交通局の庁舎として使用していることは、当事者間に争がない。しかし、成立に争のない甲第一、二号証、前掲の乙第一号証、第五号証、成立に争のない乙第六、七号証、当審証人西田喜三郎の証言、当審における検証の結果及び弁論の全趣旨を併せ考えると、二羽賢二は、(二)の土地を終戦前から耕作していたが昭和二三年三月二日自創法第一六条の規定により被控訴人国から売渡を受け、昭和二五年七月四日その旨所有権移転登記を受けて引き続き耕作していたこと、西田伸彦は、巽町農業委員会の承認を得て(二)の土地を控訴人国から売渡を受けた農地と交換してその所有権を取得したので、錯誤名義で右登記を抹消の上昭和二七年三月一三日原因を昭和二三年三月二日自創法第一六条の規定による売渡、取得者を西田伸彦とする登記を受け、二羽賢二に引き続き、西田伸彦が昭和三一年一〇月二九日補助参加人に右土地を売り渡すまで、その父西田喜三郎とともに右土地を耕作していたこと、中村音治郎は(一)の土地を昭和二三年三月二日被控訴人国から売渡を受ける以前から耕作していたが、巽町農業委員会の承認を得て昭和二九年四月八日右土地を平岡国松に売り渡し、平岡国松は、昭和三一年一〇月三一日補助参加人に売り渡すまで右土地を耕作していたこと、補助参加人が(一)(二)の土地を買い受けるに当り、昭和三一年一一月二日農地法第五条の規定による許可申請をし、同年一二月八日被控訴人大阪府知事からその許可を得たこと(この点当事者間に争がない。)、(一)(二)の土地は、前記のように大池橋の東方約一丁の前記道路の南側に面した土地であり、当裁判所が検証をした昭和三二年四月一〇日当時においては、右土地は宅地化され、現在建築の完成している((一)(二)の土地を含む敷地上に建てられた補助参加人の建物の写真であることに争のない検甲第一号証により明らかである。)鉄筋コンクリート建建物が建築されつつあつたが、右検証当時には、(一)(二)の土地の西方に田を隔てて市街地の住宅があり、東方は東側に宅地化された若干の土地((一)(二)の土地の隣接地上のロート製薬株式会社の建物の写真であることの争のない検甲第二号証により認められる現在ロート製薬株式会社の建物が建設された土地)がある外前記道路の南側は現に耕作されつつある農地であり、ただ右道路の北側には小規模の既設の工場、住宅、建設中の小規模の工場と認められる建物があること、前記道路は相当巾員の広い道路であるが、検証当時においてもその中央部分のみが舗装されその両端はまだ舗装されていなかつたことを認めることができる。控訴人らは、右道路は、(一)(二)の土地の買収計画が定められた時から数年前に大阪府が建設に着手したものであり、(一)(二)の土地は、昭和二八年頃から自然に埋め立てられ、昭和三〇年頃には完全に地盛され建築敷地の現況となつたと主張するが、前記認定をくつがえして、右主張事実を確認するに足る証拠はない。右認定事実から考えると、(一)(二)の土地に対し昭和二三年三月二日買収処分がなされた当時における右土地は、現に耕作されていた農地であつて、その西方近くまで市街地の家屋があつたとはいえ、その東方には農地が続いていた状況であつたことを推測するに難くなく、(一)(二)の土地の買収当時の状況及びその四囲の環境からみて、右土地は、買収当時を標準として近い将来農地となることが必至と認められる程度に至らない農地であつたことは明らかであり、(一)(二)の土地が前記のように宅地化され、補助参加人所有の鉄筋コンクリート建建物の敷地の一部となり、その隣接地にロート製薬株式会社の鉄筋コンクリート建建物が建設されている現在の状態となつたのは、右土地の面する前記道路の拡張を契機として最近郊外への都市の急速な拡大発展の顕著な傾向に伴い、本件買収処分当時予想できなかつたような急速な発展を遂げたためであると認めるのを相当とする。そうすると、(一)(二)の土地は、買収処分当時の状況からすると、当時の巽村農地委員会が買収除外の指定をしないで、買収計画をたてることが許されない場合に当らないから、右農地委員会が(一)(二)の土地につき買収除外の指定をしないで買収計画をたて、これに基きなされた本件買収処分には、控訴人ら主張のような無効事由はない。控訴人らの右主張は理由がない。

控訴人らは、(一)(二)の土地は買収計画当時何人にも小作させておらず、何人も耕作していない休閑地であつたのであるから、これを買収した本件買収処分は無効であると主張するが、その主張の理由がないものとする理由は、原判決の右主張に対する判断(原判決八枚目表一二行目から同裏一三行目まで)と同一であるからこれを引用する。

控訴人らは、(一)(二)の土地の買収の対価は賃貸価格となつているが、事実上宅地である(一)(二)の土地については、自創法第六条第三項但書により時価相当の対価を定むべきであるのに、小作地として右のように対価を定めたことは違法であると主張するが、右土地が買収当時宅地でなく農地であつたことは、既に認定したところにより明らかであるばかりでなく、対価が不当であるとするときは、自創法第一四条に定める不服の訴により増額の請求をすることができるのであるから、右規定から考えても対価が不当であることは、買収処分の効力には関係はないものというべきである。控訴人らの右主張は理由がない。

控訴人らは、その主張の二、三記載の理由により、本件買収及び売渡処分は無効であると主張し、(一)(二)の土地が、控訴人ら主張のとおり売り渡され、売渡を受けた者が控訴人ら主張の経過により補助参加人に売り渡し、それぞれその旨の登記がなされたことは、既に認定したところにより明らかであるが、被控訴人国から右土地の売渡を受けた者が売渡を受けた当時控訴人ら主張のように売渡を受けた土地を他へ売却して利益を得る目的のみで買受申込をしたものであることを認めるに足る証拠はなく、前記認定により明らかなように、(二)の土地は当時の耕作者二羽賢二の請求により一旦同人に売り渡されたが、西田伸彦は被控訴人国から売渡を受けた農地と(二)の土地とを農業委員会の承認を得て二羽賢二と交換したのであり、(この交換が適法であることは自創法第二三条の規定の趣旨から明らかである。)右二羽賢二、西田伸彦及び(一)の土地の売渡を受けた中村音治郎は、売渡を受けてから相当期間耕作しており、適法な手続により更に売り渡したのであるから、(二)の土地の買収請求者が西田伸彦でなく二羽賢二であつても、右土地の買収及び売渡処分が違法であるということはできないし、前記のように(一)(二)の土地の売渡を受けた者が更に売り渡しても、このことから直ちに本件買収及び売渡処分がなされた当時右買収及び売渡が農産物増産の目的でなされたのでなく、売渡を受けた者が農業に精進することを目的としないで他に売却して利益を得るために買受申込をしたものであると認めることはできない。従つて、本件買収及び売渡処分が、控訴人ら主張のように自創法の精神に反したり、憲法に違反するものと認めることはできない。控訴人らの右主張はいずれも理由がない。

以上の次第で、(一)(二)の土地の買収及び売渡処分が無効であるとする控訴人らの主張はいずれも理由がないのであるから、右買収及び売渡処分は有効であると解すべきである。従つて、控訴人らが、被控訴人国に対し、本件買収及び売渡処分の無効確認を求める請求は理由がないから棄却さるべきである。

既に認定したところにより明らかなように、(一)(二)の土地に対する買収処分は有効であるから、辻恵次郎は右買収によつて右土地の所有権を失つたというべきである。従つて、同人の遺産相続人である控訴人らはその相続により右土地の所有権を取得することができないことは明白である。そうすると、控訴人らが、被控訴人国に対し、(一)(二)の土地の所有権を有することの確認を求める請求及び本件買収処分が無効であり、控訴人らが右土地の所有権を有することを前提とし、大阪府知事をして(一)(二)の土地につき、大阪法務局天王寺出張所受付昭和二四年一二月五日第五、三二五号による取得者を農林省とする所有権移転登記の抹消登記手続をさせることを求める請求は、いずれも失当として棄却さるべきである。

控訴人らが当審において拡張した被控訴人国に対し抹消登記手続を求める請求部分を除き、以上と同趣旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、当審において拡張した抹消登記手続を求める控訴人らの請求中、被控訴人国に対し、大阪府知事をして(一)の土地に対する大阪法務局天王寺出張所受付昭和二五年七月四日第五、三九〇号による取得者中村音治郎とする所有権移転登記、(二)の土地に対する同出張所受付昭和二七年三月一三日第一、四九五号による取得者西田伸彦とする所有権移転登記の各抹消登記手続をさせることを求める訴を却下し、(一)(二)の土地に対する同出張所受付昭和二四年一二月五日第五、三二五号による取得者農林省とする所有権移転登記の抹消登記手続させることを求める請求を棄却することとし、民訴法第三八四条第八九条第九三条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 熊野啓五郎 裁判官 岡野幸之助 山内敏彦)

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